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「糞便」をエネルギーとデジタル通貨に変えるトイレ

ENERGY | 2022.03.30

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「糞便」をエネルギーとデジタル通貨に変えるトイレ

ユニークな方法で取組むサステナブル

「One man’s trash is another man’s treasure-ある人のゴミは他の人の宝-」とはよく言ったものだが、以前当メディアで紹介した人間の「髪」から作られる、ユニークでサステナブルな服」もその1つの例だ。散髪して捨てられるはずの髪(ゴミ)を、洋服(宝)として再生させている。

そして今回紹介する取組みも、今まで「ゴミ」として廃棄する以外考えられなかったものが、創造性に富んだユニークな発想で「宝」になるというものだ。

人間の「糞便」からエネルギーを生成するトイレ

なんと、人間の「糞便」からエネルギーを生成するトイレが発明されたのだという。

 

このシステムを開発したのは、韓国・蔚山(ウルサン)科学技術大学校、都市・環境工学教授Cho Jae-weon(チョ・ジェウェン)氏。

「Bee(蜂)」と「Vision(視覚)」からなる造語で「BeeVi」と名付けられたこのトイレは、まず、強力な真空ポンプを使用して糞便を地下タンクに吸い込む。
吸い込まれた糞便は微生物によって分解され、メタンを生成。そのメタンが発電効率の良い燃料電池に送り込まれて電力となり、
ストーブや給湯器などに供給されるという。

つまり、大学のBeeViトイレで排泄することで、構内で使用するエネルギーが生成される仕組みになっているのだ。

Jae-weon氏によれば、平均的な成人は1日に約500g糞便を排泄し、それは約50Lのメタンガスに変換できるとのこと。それにより、0.5kWhに相当する電力を生み出すことができるそうだ。
さらにBeeViトイレは通常の水洗トイレに比べて使用する水量が少ないため、節水にも役立つという。

「排泄物には、貴重なエネルギーになる価値があります。私はこの価値を生態系の循環に乗せたのです」と、Jae-weon氏は述べている。

「BeeVi」を使用することで、デジタル通貨の獲得も

「BeeVi」がユニークで優れているのは、エネルギーを生成するという点だけではない。

なんと同大学では「BeeVi」を使用することによって、デジタル通貨を獲得することができるのだという。
この通貨は「Ggool(韓国語で「蜂蜜」の意)」と呼ばれ、構内でコーヒーや食事、本などと交換できるそうだ。

これまで「臭い」「汚い」と思われ、ただ捨てられてきた排泄物が、エネルギーやデジタル通貨といった価値あるもの(宝物)を生み出しているのだ。

「人類は常識にとらわれない考え方をすれば、あらゆる問題を解決できるのです」と、Jae-weon氏は述べている。


Source :Student Invents Toilet That Converts Poop into Energy – And Pays in Digital Currency if You Help to Fill it!

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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