PLUGO JOURNAL

NEWS

人間の「髪」から作られる、ユニークでサステナブルな服

FASHION | 2022.03.03

SHARE

人間の「髪」から作られる、ユニークでサステナブルな服

最もユニークでサステナブルな服?

多くの企業が、サステナブルな社会実現に向けて取り組んでいる。
正解が存在しないため日々模索しながらも、着実に進んでいるように思う。

製造過程で排出される二酸化炭素量の削減プラスチックから代替品への切り替え食料廃棄物の活用など、その取組みは様々だが、今回紹介するのは他にはないとてもユニークな取組みである。

この服は「あるもの」をリユースして作られたものだが、その「あるもの」がなんともおもしろい。
何か分かるだろうか。

 

人間の髪100%で作られた服

なんと、この服は人間の「髪」で作られているのだ。

これを作ったのは、オランダ・アムステルダム在住のデザイナーZsofia Kollar氏。
彼女は人間の髪で服を作ることで、繊維業界の常識を覆そうとしている。

彼女は、ヨーロッパでは年間約7万2,000トンもの人間の髪がゴミとして埋立地に捨てられたり、排水システムを詰まらせてしまっているという事実を知り、その解決のためにHuman Material Loopを設立したという。

「人間の髪と動物の毛は同じ成分からできています。人間の髪を大量に棄てておきながら、羊やアルパカ等の動物の毛を残酷に使用している矛盾を考えてほしい」と彼女は言う。

簡単に入手できて、環境に優しい人間の髪

人間の髪を利用する、その最大のメリットは簡単に入手できることだろう。
Kollar氏は地元のヘアサロンを回って髪を集めているそうだ。

「人間の髪は、世界中のどこでも手に入る素材です。コットンやウールのように特定の地域でしか手に入らないものではありません。そのため、現地生産、現地での労働が可能になるのです」と、彼女は言う。
現地で簡単に入手できる髪は原料運搬の必要もないため、製造過程で排出されるカーボンフットプリントも大幅に削減することができるのだ。

また、動物の毛を使用する際には血液や糞便等を除去するために化学製品で処理する必要があるが、人間の髪は蒸すだけで利用可能なので、その点からも環境に優しいのだという。
さらに、短すぎる髪は糸を紡ぐのに使われ、その後は天然の肥料としても再利用される予定だそうだ。

Kollar氏は、生産過程から廃棄物を出さない「クローズドループシステム」を構築しようとしている。

既に世の中にある素材のポテンシャルに注目

ここまでで、人間の髪で作られた服を着てみたいと思った人は、どのくらいいるだろう。

いくらユニークでサステナブルであっても、いざ身に着けるとなると躊躇してしまう人も少なくないだろう。
動物の毛なら大丈夫だが人間の髪には抵抗がある、というのも理解できる。

しかし、ファッションを持続可能なものにするために、すでに世の中に存在する素材の多様性、ポテンシャルに注目することも大切ではないだろうか。
人間の髪から作られる服が、今後どのように展開されていくのか非常に楽しみである。


Source: Would you buy clothes made out of human hair?

 

SHARE

TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

recommend

RECOMMEND

COPYRIGHT PLUGO ALL RIGHTS RESERVED.