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米国で可決!長年続けられてきた「サマータイム」が廃止に

ENERGY | 2022.03.24

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米国で可決!長年続けられてきた「サマータイム」が廃止に

米国でサマータイムが廃止に

欧米など多くの国で導入されている「サマータイム」。
日の出時刻が早まる時期(3~10月)に時計の針を1時間進め、太陽の出ている時間帯を有効に活用しようとするものだが、この度米国では「The Sunshine Protection Act(サンシャイン保護法)」が上院で可決され、2023年からはサマータイムが廃止されることになる。

その理由は、人為的に時間を動かすことによる「健康被害」だという。
サマータイムの廃止と健康被害、この二つはどう関係があるのだろうか。

世界大戦中、消費エネルギー削減のために始まったサマータイム

サマータイムは元々、第一次世界大戦中に燃料が不足した際、消費エネルギー削減のために同国で導入されたもの。日照時間帯を有効活用することで、人々が夜遅くまで電気を使用しないようにするためのものだった。

第一次世界大戦後に一旦は廃止されたが、第二次世界大戦中にも燃料が不足したため再度導入。
第二次世界大戦後は各州によって廃止や継続の対応が分かれたが、1966年には政府がサマータイムの導入を全州に義務付けたため、ハワイとアリゾナを除いた米国全土で導入され、今日に至る。

電化製品の多様化により、その効果は大きく減少

上記で述べた通り、サマータイムは元々消費エネルギー削減のために導入された制度である。
実際、1975年に同国運輸省が行った調査では、サマータイムの導入により国のエネルギー消費量が約1%削減されたという。

しかし、戦後と現代では状況が大きく異なる。

導入当初、一般家庭に普及していた電化製品のほとんどは「照明」だったため、夜を短くすることで照明を使用する時間も短くなり、消費エネルギーを大きく削減できた。
一方、現代の電化製品は冷蔵庫やパソコン、テレビ、録画機器など多岐に渡り、昼夜を問わず常時通電しているものが増えている。そのため、消費エネルギーに占める照明の割合は低く、夜を短くしてもその効果は極めて小さくなっているのだ。

サマータイムによる健康被害も

さらに、サマータイムによる健康被害についてもさまざまな研究結果が出てきている。

時計の針を1時間動かすことで概日リズム(体内時計)が乱れ、睡眠障害などの健康被害を招くのだそうだ。
そのため、特に「変更後の1週間」においては交通事故や心臓発作が増加することも指摘されている。
サマータイムを廃止すればそれらの健康被害を防ぎ、さらには犯罪や子どもの肥満、季節性うつ病も減らすことができるという。

今回の法案可決に際し、サマータイム廃止を支持していたMarco Rubio上院議員は「時計の切り替えがもたらす害には強固な科学的裏付けがあり、それを人々に認識させるものだ」と述べている。

かつて日本でも導入されたサマータイムは3年で廃止に

実はあまり知られていないが、戦後GHQに支配されていた日本においても、サマータイムが導入されたことがあったが、やはり健康被害などの弊害が大きく、わずか3年程で廃止になっている。(当時は「サンマー・タイム」と表記されていた)

当時の日本では、多くの人が第一産業である農業に従事しており、日照時間に沿った生活を送っていたため、人為的に時計を早めるサマータイムとは合わなかったという。
また、終業時間になっても外が明るいことで、残業時間の増加も招いたとも言われている。

さらに最近でいうと、昨年行われた東京オリンピック・パラリンピック開催前、酷暑対策としてサマータイムの導入が検討されていたことも記憶に新しい。この時もやはり睡眠時間の短縮や睡眠効率の低下など、生体機能にさまざまな影響を及ぼすとして、導入が見送られている。

サステナブルな社会実現のためには、習慣を変える決意も必要

EUでも廃止の動きがあるというサマータイム。
消費エネルギー削減効果は極めて少なく、健康に被害を及ぼすことが指摘されているにも関わらず、まだ実施している国も多く世界的な廃止には至っていない。これは、今までの習慣によりやめられなくなっていることのひとつの例だろう。

そしてそれは、環境に悪いと分かっていてもやめられなくなっているさまざまな行動-近所でも車を使用、水を出したまま歯磨きや手洗いをするなど-に関しても同じことが言えるのではないだろうか。

サステナブルな社会実現のためには、こういった「今までの習慣」を冷静に見つめ直し、変わることを決意する必要があるのかもしれない。


Source :Will scrapping Daylight Savings Time reduce energy consumption?

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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