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数学教師が11年もの歳月を費やし作り上げたソーラーカー

SDGS | 2022.06.28

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数学教師が11年もの歳月を費やし作り上げたソーラーカー

自動車業界が環境に与える影響

自動車業界はそのライフサイクル全体において、大気・水質・土壌など、環境に多くの影響を与えてしまっている。中でも、ガソリン車による排気ガスが気候変動に与える影響は早急に解決すべき問題だと言われており、各メーカーでは環境に配慮した車や、EV開発が進められている。

そんな中、インド在住のとある数学教師が独自のソーラーカーを作ったことが話題になっているという。

11年の歳月を費やし、ついに完成したソーラーカー

インド、カシミール地方のスリナガルに住むBilal Ahmed氏はなんと、11年もの歳月を費やし、1台のソーラーカーを完成させたのだ。彼は、富裕層のためだけではなく「贅沢」でありながらも「持続可能な車」を作ることを目標としていたという。

「メルセデスやフェラーリ、BMWなどの車は庶民にとっては夢のようなもので、それを買える人はほんの一握りです。私は、人々に豪華な“感じ”を与えるためにどうしたら良いかを考えたのです」と彼は言う。

インドにテスラは進出してないが、ソーラーパネルを取り付けたデザインは車好きの人たちの想像をかき立て、カシミール地方で最初のソーラーカーとして歓迎されているそうだ。

ちなみに彼は外部から一切の支援を受けずに完成させたのだが、1950年代のさまざまなモデルを研究したり、他の専門家とネットワークを構築した後、18,200ユーロ(約260万円)以上を費やしたそうだ。
「もし支援を受けていたら、私はインドのイーロン・マスクになっていたかもしれません」と、彼は語っている。

ソーラーパネルで効率良く発電する工夫

Ahmed氏の車でまず注目すべき特徴は、ボンネットからリアガラスまで、ほぼ全ての面がソーラーパネルで覆われている点だ。そして、そのソーラーパネルには発電効率の良い「単結晶ソーラーパネル」が使用されている。
カシミール地方は国内でも最も涼しく「陰気な」気候、つまり日照時間が短いのだが、そのような気候条件でも効率良く発電できるよう工夫されているのだ。

2つ目の特徴は、上向きに開く「ガルウィング」を採用している点だろう。
今にも飛び立ちそうな佇まいをしており、ジャンムー・カシミール州の前首相Omar Abdullah氏は、Twitterでこの車を有名な映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場する車「デロリアン」と比較している。

特徴的なこのガルウィングはドアを空に向けて、できるだけ多くの太陽光を受けられるようにするための工夫だそうだ。太陽の動きに合わせてパネルの向きを変えることもできるという。

さらに、電力回生ブレーキを採用しているため燃費性能も良い。
このように、比較的小さな面積の車体から最大のエネルギーを生み出す工夫が、このソーラーカー成功の鍵だったという。

昨今の燃料価格の高騰で、Ahmed氏の発明はよりタイムリーなものと捉えられることとなり、彼はこの車を大量生産する会社を設立したいと考えている。
「これは環境に優しく、無料のエネルギー資源で動作する車です。市場に革命を起こす大きな可能性を持っています」と、彼は語っている。


Source :‘I could have been India’s Elon Musk’: The maths teacher who built a solar car from scratch

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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