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廃棄される食品を大量に救う。Food Rescue Hub

地球規模の課題、食品廃棄

世界中で飢餓に苦しむ人が多くいる中、先進国では大量の食品が廃棄されている。
毎年、世界で生産される食料のおよそ3分の1(約13億トン)が廃棄され、失われていることをご存知だろうか。さらに2030年には21億トン、1秒間に66トンの割合で廃棄されると推定されている。

また、2019年にEUが発表した報告書では、売れ残った農産物を食料難の人々に再分配するだけでは十分ではないことが示唆されていた。
EU全体で毎年8,800万トンの食品廃棄物を削減し、2030年までには半減させるという国連の目標を達成するためには、より多くの食品を廃棄せずに届ける必要がある。

既に「『捨てるにはもったいなすぎる』-残り物を救うサービス」など、世界中でさまざまな活動が行われているが、今回は、よりシンプルで効果的な取組みを行っているイギリスの「Food Rescue Hub」の活動を紹介しよう。

廃棄食品を地域に提供する「Food Rescue Hub」

イギリスの家庭からは毎年約700万トンの食品廃棄物が出るが、そのうち500万トンは「まだ食べられる」ものだという。

Food Rescue Hubは、廃棄物処理場から食品を救い出すことを使命とするエコ・コミュニティ。
「人」と「地球」を助けることに情熱を注ぐEmma Goulding氏によって設立されたもので、REFUSE(ゴミを出さない)・REDUCE(買う量を削減)・REUSE(食品や包装の再利用)・RECYCLE(リサイクル)・ROT(ゴミの堆肥化)・RESCUE(廃棄物の救出)という、「6R」の実践を理念としている。

例えば、地元の食品事業者から未調理の食品を回収し、週に1回地域の人々に提供している。また、 それだけでなく、家庭での食品廃棄を減らす方法について学ぶ機会を定期的に設け、人々が互いに分かち合い、学び合う機会も提供している。

参加者は「レスキュー隊」と呼ばれ、廃棄物処理場から食品を救いたいと願う人なら誰でも参加可能だ。

「私たちはこの地球で、農家が育てた食べ物を大切にし敬意を表します。このコミュニティで、人々は互いに知り合うことができます。大金持ちと貧しい人が隣り合わせになることもありますが、そんなことは関係ありません。私たちは皆、共通の目的のためにそこにいるのですから、これは正しい多様性です」と、Goulding氏は言う。

食品廃棄は、一人ひとりが意識を高め地域で取り組むべき課題

Goulding氏は「食品廃棄は地域で取り組むべき課題である」という強い信念を持っているが、それは、彼女が2018年に慈善団体「Humanitas」と共にガーナに行ったときに生まれたものだという。

イギリス産のプラスチック製食品包装が、自宅から何千キロも離れた場所に捨てられているのを見つけて驚いた彼女。自身の住むイギリスが、西アフリカや北アフリカの国々にゴミを送る契約を結んでいることを知ったという。さらに、イギリスではまだ食べられる食品が多く廃棄されていることも知り、行動を起こさなければと思ったそうだ。

これには彼女のバックグラウンドも関係しているかもしれない。
彼女が生まれ育ったバルバドス(東カリブ海の島)では、食料のほとんどが輸入品で、とても貴重なものとして扱われているのだ。

日本においても、農林水産省が公表した2020年度のカロリーベースの食料自給率は37%で、食料の多くを輸入に頼っている状況はバルバドスと同じである。

一方で、調理の際に食べられる部分を捨てたり、外食でお腹がいっぱいだからと残す人も少なくないのではないだろうか。
「塵も積もれば山となる」とはよく言ったもので、このくらいならと思うような少しずつの廃棄が積み重なり、日本では毎年なんと600万トンもの食料が廃棄されているもの食料が廃棄されている。

「食品廃棄物との戦いは陳腐化することなく、埋立地ではなく人々に食品を供給するという使命のために、賞味期限はない」と、Goulding氏は述べている。


Source :Think food banks are the only place to pick up free food? These projects tell the full story

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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