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ニセバナナが食糧難を救う?アフリカに希望をもたらすエンセーテ

FOOD | 2022.02.04

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ニセバナナが食糧難を救う?アフリカに希望をもたらすエンセーテ

毎日の食生活に主食は欠かせないもの。

現在、世界で主食として消費されている作物は米、小麦、トウモロコシ、ジャガイモという四大主食に依存しており、私たちが口にするカロリーの半分程が、これら一部の主食作物に依存していることはご存知だろうか。

一方で、近年の気候変動は、世界各地で主食作物の収穫量や分布に深刻な影響を与えると予測されている。中でもアフリカは飢餓蔓延率が世界一であり、人口の1/3もの人々が栄養不足だと言われる程深刻な状況である。
そのため、世界では気候変動への具体的な対策を進めると共に、それに伴う食糧難の解決の1つとして、主食となる”新たな植物”を探すことに関心が高まっているのだという。

そこで注目されているのが「ニセ(偽)バナナ」。
この植物が、多くの国で食糧難の救世主となるかもしれない。

「ニセバナナ」は別名で、植物学的にはその名を「エンセーテ」という。

エチオピアバナナ、アビシニアバナナ、とも呼ばれていて、その名の通り外観はバナナによく似ている。バナナ同様バショウ科の植物だが、果実そのものは食用ではないそうだ。

アフリカ北西部のエチオピアでは、このエンセーテを食用として多く栽培し、約2,000万人もの人々が主食にしているが、エチオピア以外ではその存在自体あまり知られていないのが現状である。

しかし、科学者たちの調査によると、エンセーテは、アフリカ諸国のもっと広い地域で栽培できる可能性があり、実に1億人以上の人々の食料になり得るということが分かったのだ。その主な理由は、エンセーテが植える時期も収穫する時期も選ばず、多年生植物であるということ。1年中いつでも食べることができ『飢餓から救う木』とも呼ばれているのだという。

ではどのように食べるのだろうか。
食用となるのは主に根茎の部分で、その食べ方には大きく2つの方法があるという。1つは、皮を削って角切りにしたものを蒸す方法。ふかし芋のようなイメージだ。もう1つは、中のでんぷんを取り出し発酵させてから、パン(「コチョ」と呼ばれる)やお粥として食べる方法。発酵というプロセスを経ると、エンセーテは穀物として食べることができるのだそうだ。

また、若い茎や葉は野菜として食べることができ、成長した葉はお皿として使用したり家畜の餌にもなる。さらに葉軸は乾燥させて紐にするなど、捨てるところがほとんどないという。なんともサステナブルな植物なのだ。

「エンセーテは、食料安全保障と持続可能な開発に取り組む上で本当に重要な役割を果たすことができる作物です」とエチオピアHawassa大学の博士Wendawek Abebe氏は述べている。

エチオピアの一部で人々の食生活を支えてきた「ニセバナナ」が、今後はもっと多くの国で持続可能な食料として広まり、食糧難の解決の1つとなることに期待したい。


SOURCE: False banana: Is Ethiopia’s enset ‘wondercrop’ for climate change? – BBC News

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TEXT:
俵谷千尋 ( facebook / Twitter / Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。いろいろな国の文化の違いや食事など知ることが大好きです。海外渡航歴27ヵ国。人生で100ヵ国達成が目標です!

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