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ゴミから水素を生産。世界最大の水素製造施設がカリフォルニアに

ENERGY | 2021.12.20

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ゴミから水素を生産。世界最大の水素製造施設がカリフォルニアに

ゴミの排出量とその処理方法は、地球温暖化にも大きな影響を及ぼしている根深い問題であり、技術が発展した21世紀においても世界的な課題である。

特にプラスチックなどの生分解性が低いゴミは、加熱処理する際に二酸化炭素等の温室効果ガスを大量に放出してしまう。

また、放置しているゴミからも、メタンや二酸化炭素からなる埋立地ガスが発生する。埋立地ガスは温室効果ガスとしての性質も持っているため、ゴミを放置しているだけでも地球温暖化を進めてしまっていると言えるのだ。

しかし、アメリカ、カリフォルニア州にできた施設がこのゴミ問題解決への大きな一歩となるかもしれない。

それは、ゴミから水素を作ることができる施設だという。

つまり、ゴミからエネルギーをつくるWaste-to-Energyだ。Super-green Hydro(SGH2)社とランカスター市が提携して立ち上げた。

映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の最後のシーンでは、科学者たちが古紙、古タイヤ、繊維、プラスチックなどのゴミを利用して、地球上で最も安価で環境に優しい水素エネルギーを生産しているが、まさにそれが現実となっているのだ。

 

SGH2社は、もともと医療廃棄物を処理するために設計されたプラズマ技術から、プラズマ強化ガス化技術を開発したのだという。
極端な高温にすることで全ての炭化水素分子が完全に解離し、高品質で水素の豊富な合成ガスが生成される。それをさらに分離し、高純度の水素と少量の二酸化炭素を発生させるのだ。

日本を含め、世界には既にゴミから水素を作る施設はあるが、こちらの施設は世界最大級の大きさを誇る。
24時間365日稼働し、1日あたり2万4,000ポンド(約1万1,000kg)の水素を生産する。SGH2社によると、これは他の水素エネルギー施設の3倍の規模であるという。

さらに、再生可能エネルギーから水素を作るいわゆる“グリーン水素”と比べて、13〜19トンもの二酸化炭素排出を削減できるのだという。

「私たちは、石炭やガスから作られる最も安価で汚れた水素と比べて費用対効果が高く、他のグリーン水素よりもはるかに安価なグリーン水素を提供する、世界で唯一の企業だ。当社の技術は、あらゆる規模の施設に応用できる」と、SGH2社のCEOであるRobert Do博士は述べている。

今後も映画や漫画からヒントを得たサステナブルな解決方法が生み出されていくことに期待したい。


Source :World’s Largest Green Hydrogen Plant Will Soon Be Turning California’s Trash into Ultra-Cheap Fuel

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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