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エネルギーの群れを作り、革命を起こす「Power-Blox」

おっ、と驚くような開発は、おっ、と驚くようなところからインスピレーションを受けていることがある。
気づいていないだけで、日常はインスピレーションの源で溢れているのかもしれない。

以前紹介した海藻の「揺れ」からインスピレーションを受けた発電機もユニークなアイディアだったが、今回も「そんなところから?」と驚くようなインスピレーションを受けて開発された「発電機」について紹介しよう。

エネルギーの群れを作る発電機「Power-Blox」

この一見大きな赤いレゴブロックに見えるものが、エネルギーキューブ、つまり「発電機」だ。
「Power -Blox」と名付けられたこの発電機は、なんと「魚の群れ」からインスピレーションを受けて開発されたという。

開発したのは、スイスに拠点を置くPower -Blox社。
「Power -Bloxは、魚の群れと同じように機能します」と同社の最高技術責任者Alessandro Medici氏は説明する。つまり、魚が成長、分裂し、再び群れるように、キューブの電池が結合して「エネルギーの群れ」を作るのだという。

携帯用ソーラーパネルで駆動するバッテリーを搭載しており、このキューブ1つで一般家庭の電力をほぼ賄うことができる。また、地域のエネルギー需要の増加に合わせ、別のキューブと接続したり、ソーラーユニットを追加することで、より多くのエネルギーを生成することもできるという。さらに、太陽光だけでなく、風力発電や水力発電も可能で、世界中の多様な気候に対応できる仕様になっているそうだ。

この「Power -Blox」は、国連の持続可能な開発目標である「2030年までにすべての人に安価でクリーンなエネルギーを提供する」ことを念頭に置いて開発されたもの。

「さまざまな環境で使用できるユニバーサルバッテリーを作り、この課題を解決したい」という思いが、Medici氏の原動力となっているそうだ。
「私たちは、エネルギーのネットワークが必要だと考えています。エネルギーシステムを統合し、それらを組み合わせて拡張する可能性も持たせ、安定的な電力供給を可能にしたいのです」と彼は言う。

世界各地でエネルギー革命を

サハラ以南のアフリカ農村部では、いまだに1割の人々が電気にアクセスできないという現状において、同社は2018年以降、国連開発計画(UNDP)やその他の援助組織と提携し、約20カ国におよそ2,000個の「Power -Blox」を提供している。

「Power -Blox」の技術はミニグリッドよりも柔軟性があり、世界で最も貧しい地域や遠隔地でも大きな可能性を持っているのだ。

例えばモザンビークのとある村では、住民はそのエネルギーを利用して、冷たい飲み物から冷蔵庫に至るまで、さまざまな商品の販売を開始したり、携帯充電ステーションの提供を始めたそうだ。その他にも、バヌアツ共和国のレレパ島や、ウガンダの難民居住区など、さまざまな地域でこのキューブが活躍している。
さらに、地震や津波などの災害救助にも重宝されているそうだ。

「Power -Bloxは、ただ電力を与えるだけでなく、さまざまなビジネスを生み出し、人々に活力を与える”パワー”にもなっているのです」と、Medici氏は述べている。


Source :What are ‘solar boxes’ and will they revolutionise renewable energy?

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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