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ヨーロッパで広がる、屋上を活用した「都市計画の革命」

緑の少ない都会で、限られた場所を活用するサステナブル

高層ビルに囲まれた都会では緑が少ないことでより地球温暖化の影響を受けているが、近年、そんな都会に少しでも緑を取り戻すため、「限られた場所」を活用しようとする動きが増えているという。

今までも、自宅の裏庭を「都市型庭園」に変える草の根活動や、環境だけでなく人にも優しい「グリーンビルディング」など、様々な取組みを紹介してきたが、今回は「屋上」を活用した、ヨーロッパの「都市計画の革命」について紹介しよう。

「屋上」をコミュニティとサステナビリティの拠点に

ヨーロッパ各地では今、屋上を活気あるコミュニティとサステナビリティの拠点に変えようと、アーティスト、プランナー、建築家たちが積極的に活動しているという。

例えばオランダ第二の都市ロッテルダムでは、市内に1億5,000万平方フィート(約13.9㎢)ある屋上を有効活用するため「Multifunctional Rooftops(屋上の多機能化)」プログラムを策定。屋上を「緑化」して保水性を高めることや、ソーラーパネルを設置して「黄色化」することを推奨している。

ロッテルダムは市域の90%が海面下にあるため、屋上の改修は水上都市維持のためでもあり、保水性に重点が置かれているという。

また、ロッテルダムの市立公園Luchtpark Hofbogenはかつての鉄道駅の高架部分に作られ、ニューヨークのHigh Lineのように巨大な屋上公園として生まれ変わろうとしている。

先週末には、Rotterdam Rooftop Daysが開催された。このフェスティバルは、屋上が健康的で活気に満ちた、魅力的な都市のためにいかに貢献できるかを示すことを目的としたものだという。
例えば、市内の様々な屋上をカラフルな橋で結び、屋上を巡るエキサイティングなルートを用意。どの屋上でも驚くような空間の使い方や、街の様子を見ることができる。また、メインとなる屋上では、音楽や演劇、ダンスを楽しみながら過ごすこともできる。

屋上でこのような革新的で印象的なフェスティバルを開催することにより、屋上利用の可能性について、国際的な模範となることを願っているという。

屋上で繋がるパートナーシップ 「ECRN」

さらに注目すべき点は、ヨーロッパ各地で活動する屋上のパイオニアたちが、この活動をより強力でスマートなものにするためのパートナーシップを結んでいるということ。
それは「European Creative Rooftop Network(ECRN)」と呼ばれ、例えば、新しい出会いの場の創出や、文化のホットスポット作り、サステナビリティを追求する革新的なリビングラボなど、より高みを目指した屋上の未来のために、「離れて一緒に」活動するためのパートナーシップだという。
ローカルインパクトを最大化するために、国際的なコネクションを構築しているのだ。

都市計画の革命

都市はますます人口が増加すると同時に、気候変動、モビリティ、手頃な価格の住宅や憩いのスペースの確保など、複雑化する課題に対処する必要がある。

また、都市の「ヒートアイランド現象」に大きな影響を与えると言われている、コンクリートによるむき出しの屋上。
一方で、屋上は、保水性、持続可能なエネルギー生成、屋上緑化、屋上テラスなど、さまざまな機能を持つ大きな可能性を秘めており、これらを組み合わせることで、より付加価値のある都市を作ることができるのだ。

屋上をコミュニティとサステナビリティの拠点に変えようとする活動が都市計画における「新たな革命」となり、ヨーロッパ以外でも普及するのを楽しみにしたい。


​​Source :European Cities Are Turning Rooftops Into Community and Sustainability Hubs: ‘A revolution in urban planning’

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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