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気候変動に警鐘を鳴らす、コペンハーゲンの「高い」ベンチ

SDGs達成率、世界第3位のデンマーク

2030年までに持続可能なよりよい世界を目指すための国際目標として採択されたSDGs。
世界ではサステナブルな社会実現に向けて様々な変革が行われている。

SDSNとベルテルスマン財団が2016年以降毎年発表している「Sustainable Development Report」では、SDGsの項目ごとの達成状況や、国ごとの達成度をランキング形式で発表しているが、2021年6月に発表された「Sustainable Development Report 2021」のSDGs達成率では、1位フィンランド、2位スウェーデン、3位デンマークと、北欧3国がトップ3位を占める結果となった。(ちなみに日本は18位)

中でも、度々当メディアでも紹介しているデンマークは「サステナブルを楽しむ。スキー場がある発電所 in デンマーク」や「デンマーク、世界初のエネルギー島建設へ」など目を引く取組みが多いが、今回は同国のまた違った観点からのユニークな取組みについて紹介しよう。

人々の意識を高める、異常に「高い」ベンチ

デンマークの首都コペンハーゲンの街を歩いていると、異常に「高い」ベンチの登場に驚くことだろう。
通常のベンチより85cmも高く、大人の肩くらいまであるため、通り掛かる人々は皆驚いて足を止める。

「コペンハーゲン・ベンチ – 2100年版」と名付けられたこの「高い」ベンチ。
これは、コペンハーゲン市と国営テレビ局TV2デンマークとのタイアップによる「Our Earth – our responsibility」プロジェクトの一環で、気候変動と海面上昇の危険性について人々の意識を「高める」ことを目的としたものだという。

最新の国連気候報告書によると、このまま地球温暖化の影響が続けば、2100年までに海面が最大1m上昇すると予想されている。
コペンハーゲンの市内には網の目のように運河が走り、海抜数メートルしかない場所もあるため、海面上昇の影響が出るのは必至だと考えられている。このベンチで海面上昇の未来を体感することで、人々により危機感を持ってもらうことがねらいだ。

設置された10個のベンチには、「Flooding will become part of our everyday life unless we start doing something about our climate.(私たちが気候について何か行動を起こさない限り、洪水は私たちの日常生活の一部となるでしょう)」と警告が書かれた銅製プレートも取り付けられている。

一人ひとりの意識を高め、行動を変えようとする取組み

コペンハーゲンは世界で最も「持続可能な都市」、そしてヨーロッパで最も「グリーンな都市」とも言われているが、その理由の一つとして、市が2025年までにカーボンニュートラルの実現を公約にしていることが挙げられる。公約実現のため、市は革新的な政策のもと人と環境に配慮した都市づくりを進めている。

再生可能エネルギーへの移行や堤防の増強なども進めているが、それだけではなく「人々の意識を変える観点からの取組み」も行っているのだ。

持続可能なよりよい世界の実現には、二酸化炭素排出量の削減や廃プラの排出削減など、一人ひとりの意識を高め、行動を変えることが必要だ。コペンハーゲン市の「高い」ベンチは、まさに人々の意識に訴えかけるものとなるだろう。


Source :Copenhagen’s unusually high benches are raising the alarm on climate change

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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