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「国産EV」普及のキーとなるか? 軽EVが夏頃リリース

EV | 2022.05.25

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「国産EV」普及のキーとなるか? 軽EVが夏頃リリース

EVを手に入れたいと考えているユーザが、検討初期でぶつかるいくつかの壁がある。

1つは「納車待ちが長すぎる」ということ。
ここ数年の半導体不足に加え、ロシアとウクライナの紛争による電池原料の調達難、COVID-19による生産工場のロックダウンなどが重なり、たとえば比較的納車スピードの早いTeslaのModel 3でも、今日の注文で納車予定は8月から9月。他社では「早くて来年」ということも珍しくない。

もう1つが、購入後の「充電インフラ不足」。
自宅に充電設備がある(または設置可能な)住宅は日本には多くなく、公共の充電器も十分にあるとは言えない。普段遣いに困るのでは…という不安をユーザが抱えるのは当然のことだ。

そして最後が「価格が高すぎる」という問題だ。
先ほど紹介したTesla Model3は日本で入手可能なEVとしては比較的安価だが、それでも600万円近い。ガソリン車であれば「ラグジュアリーな」セダンが十分に購入できる金額だ。

200万円台の軽EVはゲームチェンジャーとなるか?

3つの問題のうち、少なくとも価格については解決してくれそうなEVが日産自動車と三菱自動車からそれぞれ発表された。軽自動車のEV「SAKURA」と「ekクロスEV」である。

どちらも価格は200万円台からと「ラグジュアリーな」車と比べれば極めて安価で、補助金を利用すれば180万円ほどで購入できる計算だ。
また、航続距離は満充電で160キロと、「日常の足」として使われる軽自動車であることを考えれば決して短くない。

十分に「使える」スペックと「買える」金額を両立させたこの2車種は日本のEV市場におけるゲームチェンジャーとなりうるだろうか。

結局は「インフラ問題」ではないか

そういえば、日本で最初に一般販売されたEVは軽自動車だった。三菱自動車の「i-MiEV」である。アップグレードの過程で大型化して軽自動車ではなくなってしまったが、2009年の発売当初はたしかに「軽のEV」だった。

当時は今以上に充電インフラが少なく、基本的には自治体や法人などが「自前の充電インフラとセットで」購入することが多かった車種だ。
一般向けには近距離移動に限定された「都市型コミューター」というコンセプトがなかなか受け入れられず、販売実績はそれほど伸びなかった。

今回発表された軽EV2車種は「コミューター」と呼ばれるような近距離に限定された用途ではなく日常の足として十分に利用可能なスペックを備えてはいる。が、それだけにインフラ整備が重要になってくるのも事実だ。

日常の中でこまめに充電しながら日々の買い物や子どもの送り迎えに使えるEV…。そんな姿はまだまだ遠い日の夢なのだろうか。

サードプレイスチャージングが拓く未来

当メディアの運営会社である株式会社プラゴが提唱している「サードプレイスチャージング」という概念が、この状況を打破するかもしれない。

ショッピングモールなどに設置された充電器を「予約」して、さらに発行されたクーポンを使って充電時間を楽しく過ごす、というコンセプトの新しい充電スタイルだ。
軽自動車という、まさに「買い物や日常のおでかけ」に使われる形態だからこそ、サードプレイスチャージングが活きてくる。

成熟した都市に新たなインフラを整備するのは容易なことではない。だからこそ、サービスという形でこれを解決する思考が広がっていくと、日本におけるEV普及ももっと進んでいくことだろう。


SOURCE : 新型軽 電気自動車「日産サクラ」を発表

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TEXT:
塚岡雄太 ( Twitter / Instagram / Website )

PLUGO JOURNAL編集デスク。趣味はサイクリングと読書で、どこにでも自転車で現れるのでよく人を驚かせる。デジタルガジェットが好きで、IoTを活用したサステナブルな活動に興味を持っている。

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