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死後は地球の栄養分に-100%キノコ製の棺桶

SDGS | 2022.04.04

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死後は地球の栄養分に-100%キノコ製の棺桶

環境への負荷が大きい土葬

遺体の葬送が、大気汚染や森林伐採、土壌汚染など、様々な環境汚染のひとつの要因となっていることをご存知だろうか。

葬送の方法として、ここ日本においては火葬が一般的になっているが、欧米諸国では今も土葬が主流だ。
土葬の場合、遺体と棺桶が土に還るまでには長い年月が必要だという。
条件にもよるが、遺体だけでも10年以上、身に着けた合成繊維の衣類や、棺桶に使用されるニス・金属部分などは、さらに数十年から数百年もかかるそうだ。また、遺体の防腐処理に使う薬剤が土壌や地下水を汚染するという問題もあり、環境への負荷が非常に大きいと言われている。

そんな中、今まで誰も思い付かなかった方法で葬送を行う「棺桶」が開発されたという。
一体どのようなものなのだろう。

菌糸体の働きで、遺体を栄養分に変える棺桶「リビングコクーン」

オランダ・デルフト工科大学のスタートアップ企業、Loopの創業者Bob Hendrikx氏が開発したのは「死後も環境に配慮する」ための棺桶。なんと人間を「栄養分」に変えるのだという。

 

秘密は、その素材。
「リビングコクーン(Living Cocoon:生きた繭)」と名付けられたこの棺桶は、キノコの根っこ部分にあたる繊維状の「菌糸体」によって作られているのだ。

この菌糸体の働きによって、「リビングコクーン」に納められた遺体の分解が促進されるという。
全てが自然由来の原料のため、棺桶自体はたった30〜45日、納められた遺体もおよそ2~3年で分解されるといい、通常よりはるかに短期間である。
さらにその過程で、遺体から出る老廃物が栄養分に変わるため、周囲の土壌の質も向上し、新しい生命が育つきっかけにもなるというのだ。

あらゆる有害物質を分解し、地上に生育するあらゆるものに栄養を与えるという菌糸体。
Bob Hendrikx氏は、菌糸体を「自然のリサイクラー」と呼んでいる。

「菌糸体は常に廃棄物を探して、栄養分に変えています。土壌に染み込んだ石油、プラスチック、金属などの有害物質も分解することができます。例えば、チェルノブイリやロッテルダムでも土壌の浄化に使われ、農家で土地を蘇らせるために使う人もいます」と、彼は述べている。

「リビングコクーン」で、人間も生命循環の一部に

土葬による森林伐採や土壌汚染、火葬による大気汚染という問題に立ち向かうべく開発された「リビングコクーン」。
2020年には、82歳の女性がリビングコクーンで安らかに眠り、自然に還ったという。

「この棺桶によって、私たちの身体で地球を養うことができるのです。私たちは廃棄物ではなく、栄養分になるのです」
彼はこのリビングコクーンを普及させ、本当の意味で「人間も生命循環の一部に組み込む」ことを目指している。


Source :Dutch Man Invents Coffin That Turns Bodies Into Mushrooms: ‘We are nutrients, not waste’

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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