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世界初、100%土に還るスニーカー

毎年200億足以上も作られ、その多くが廃棄される靴

ファッションに欠かせない靴。
同じコーディネートでも靴を変えるだけで印象が変わるし、足元からトレンドを取り入れるという人もいるだろう。

一方で、世界では毎年200億足以上もの靴が作られ、何十億足もの靴が廃棄されていることをご存知だろうか。

ファッション業界においては、製造過程における二酸化炭素排出量が他の業界に比べても極めて多く、原材料の綿花栽培には大量の農薬が使用されているなど、ライフサイクル全体の見直しが喫緊の課題である。

履き終えたら埋める。リンゴの木になるスニーカー」や「コーヒー15杯分から作られたブーツでサステナブルなハイキング」で紹介したように、既に様々な企業が驚くべきアイディアの商品を開発しているが、今回紹介するこちらの靴は、ある点において「世界初」なのだという。

 

世界で初めて市販された、100%生分解性のスニーカー

ニュージーランドのスタートアップ企業Orba社によって開発されたスニーカー、その名は「Ghost」。

通常の靴は使用後埋立地に送られると、完全に分解されるまでには40年から1,000年もの年月が必要だとも言われており、分解されるまでの長期間に渡り、有害物質や二酸化炭素が排出され続けているという。
これに対処すべく開発されたのが、この「Ghost」である。

一見ごく普通のシンプルなスニーカーに見えるが、なんと使用されている素材は100%生分解性。使用後は全て分解されて土に還り、土壌に毒素が残ることもないという。
100%生分解性の靴は既に他の企業でも開発が進められているが、市販されるのはこれが世界初。
開発されただけでも注目に値するが、それを市販するに至ったことで、ファッション業界にもたらす影響はより大きいものとなるだろう。

100%生分解可能でありながら、機能性にも優れている「Ghost」

同社は「Ghost」を分解し、各パーツの素材や原産地を明確にすることで、透明性を確保している。
例えば、従来石油ベースの合成ゴムで作られていた靴底には、天然ゴム、籾殻、ココナッツオイルを、アッパーには亜麻キャンバス、麻、イラクサを使用。その他、インソールやシューレース(紐)などにも全て生分解性素材が使用されているが、これらはただ再生可能というだけでなく、農薬を使わずに栽培した作物が採用されているという。

これらの素材は、適度な通気性と軽量性を持ち、生分解性を持ちながら天然の微生物やカビに対する耐性は備えている。
地球に優しいだけでなく、履き心地も良く、耐滑性や柔軟性、強度などさまざまな機能性にも優れているのだそうだ。

ウェブサイトでは「それぞれの素材が持つ特性と環境への影響を考慮して慎重に選び、あなたと地球を美しく保つ靴を作り上げています」と紹介されている。

誰の手で、どのように作られているか

同社は今後、100%エコ認証の素材を使用した「100%エコ認証シューズ」の開発を目指している。
「6ヶ月前に発売したばかりのOrba Ghostが、このように世界的な評価を得られたことは信じられないほど刺激的です。デザインとサステナビリティに対する私たちのアプローチの有効性を示していると言えるでしょう」と、共同設立者のGillian Boucher氏は述べている。

Orba社の取組みを受け、今後はますます多くの持続可能な靴が開発され、市販されるようになるだろう。
トレンドや価格だけではなく「誰の手で、どのように作られているか」。
選択の際には、そんな観点からも注目してはどうだろうか。


Source :Meet the World’s First Truly Biodegradable Sneakers

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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