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二酸化炭素を回収する?ユニークなエタノールを使った香水

香水が二酸化炭素排出の要因に?

リラックス効果や気分を明るくする効果もある香水。
その香水が、実は二酸化炭素排出の要因になっていることをご存知だろうか。

温室効果ガスによる地球温暖化の進行は依然深刻であり、日本だけで見ても、温室効果ガスの排出量はなんと12億4,000万トン(2018年)。そのうち二酸化炭素の割合が実に9割も占めている。

その要因はさまざまだが、香水もその1つだという。
香料を水に溶かす際に必要な「エタノール」は、空気中に香りを揮発させる作用もあり香水には不可欠な成分だが、このエタノールの製造・廃棄過程において、多くの二酸化炭素が放出されているのだ。

この問題解決に踏み出したのが、アメリカの化粧品企業「Coty」。

「炭素回収エタノール」を使った香水

Coty社は化粧品や香水を扱う複合企業で、GucciやCalvin Klein、TIFFANYなど多くのラグジュアリー・ブランドに香水類を提供している。
このCoty社が始めた斬新な試みが、「二酸化炭素を回収するエタノール」を使った香水の製造だ。

通常、エタノールの製造過程においては二酸化炭素が発生するが、今回使用されている炭素回収エタノールは、その名の通り製造過程の中で発生する二酸化炭素を自ら取り込み、分解する。そのため、二酸化炭素が大気中に放出されることはないのだという。

さらにこのエタノールの製造に使用する水の量は通常より少ないため、その点からも環境に優しいエタノールだと言えるだろう。

Coty社は世界で初めて、この炭素回収エタノールを使用した香水を開発したのだ。
その世界初の商品は今後数ヶ月で店頭に並ぶ予定だという。

CotyとLanzaTechのパートナーシップ

この画期的な取組みによって、今度はCotyとLanzaTech(ランザテック)社との提携も実現した。

LanzaTech社はアメリカのバイオ技術会社で、製鉄所から放出される排ガスからエタノールを製造するなど、ユニークなガスのリサイクル技術開発に成功している。また、エタノールからバイオジェット燃料の製造も行っており、バイオ技術やエタノールに高い知見を持つ企業である。

そのLanzaTech社とパートナーシップを結んだことで、環境に優しいエタノールを使用した香水への流れはますます勢いを増し、2023年までにより多くの商品ラインナップとなるよう開発が進められているそうだ。

「二酸化炭素を排出しないエタノールを使用した香水の製造を急速に拡大しています。この取組みは画期的で、サステナブルの進歩を象徴しているようです。わが社は持続可能なフレグランス・イノベーションの最先端にいるのです」と、Coty社の主任技師Shimei Fan氏は言う。

これからも香水を楽しむために

心地良い香りを身にまとうことは、周囲の印象を良くしたり自分の自信にも繋がる効果があるという。
「目に見えないお洒落」とも言われている香水だが、二酸化炭素排出量を増やしてしまっているのも事実。

お気に入りの香水を探す際には、自分にとって心地良いだけでなく地球にとっても心地良い香水を選ぶ。これも私たちが今日からできるサステナブルな試みの1つかもしれない。


SOURCE: Fragrance giant behind Gucci begins using carbon-captured ethanol | Metro News

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TEXT:
俵谷千尋 ( facebook / Twitter / Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。いろいろな国の文化の違いや食事など知ることが大好きです。海外渡航歴27ヵ国。人生で100ヵ国達成が目標です!

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