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スマートな充電システムが、台湾のバイク事情を変える

TECH | 2022.02.18

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スマートな充電システムが、台湾のバイク事情を変える

普及率世界一?台湾のバイク事情

初めて訪れた人は誰しも驚く台湾の光景がある。それは、街中をひしめくように走る多数のバイクだ。
人口約2,300万人に対しバイク総保有数は約1,200万台。およそ2人に1台はバイクを保有していることになり、バイク普及率は世界トップクラスである。

その地理的要因や生活環境から台湾においてバイクは欠かせないものだが、近年はバイクの排気ガスによる大気汚染も問題視されており、電動バイクへのシフトが急速に進められているという。

電動バイク普及のカギは、スマートな充電システム

そのカギとなっているのは、台湾のスタートアップ企業Gogoroが開発した電動バイク「Gogoro Smartscooter」と、「GoStation」と呼ばれるバッテリー交換ステーションである。

「EVの充電」と聞くと、専用のコンセントに繋いで長時間待つというイメージを持つ人が多いだろう。しかし同社が開発したのは「街中でバッテリー自体を交換する」というシステムである。つまり、電動バイクを購入する際にバッテリーは買わず、サブスクするという仕組みだ。そうすることで、利便性が高まるだけでなくバイク本体の価格も抑えることができるという。

バッテリー交換の際には専用アプリが最寄りのGoStationの位置を示してくれ、事前予約も可能。Gostationに着くと空いているスロットに使用済バッテリーを挿入し、6秒後に他のスロットからフル充電されたバッテリーがポップアップするのだという。ユーザーはそれを交換するだけ。充電時間を待つこともなく、またすぐに走り出すことができる。

「バッテリー交換方式でなければ、電動バイクを使うことはなかったでしょう」と、同社のマーケティング担当Aiden Lee氏は言う。

現在、GoStationは台湾全域のコンビニエンスストアや駐車場に2,300以上、台北市内ではおよそ1キロ間隔で設置されている。主要都市では既にガソリンスタンドの数を上回っており、2022年には台湾全域でガソリンスタンドの数を超えることを同社は目標に掲げている。

Gostationが台湾のゲームチェンジャーに

さらに注目すべきなのは、Gogoro社はパートナー企業が同社のバッテリーやGostationを使う車両を製造できるようにプラットフォームを作っているという点だ。
この仕組みが、台湾における電動バイクの普及に大きく貢献していると言って良いだろう。

さらにGogoro社は、バッテリーのライフサイクル管理まで

2015年以来、既に2億5000万回以上のバッテリー交換が行われ、約38万トンの二酸化炭素排出量削減に貢献しているGostation。

さらに同社は、バッテリーの新しい使い道として、電源が確保できない場所でも設置できるスマートパーキングメーターを共同開発したことを発表。当面は有料駐車場の管理などに使用される予定だが、将来的には幅広い用途に活用される見込みがあるという。

特に興味深いのは、Gogoro社の古くなったバッテリーが使えるということ。
バッテリーは繰り返し使用するうちに劣化し航続距離が短くなるものだが、そんな古いバッテリーでもスマートパーキングメーターにとっては、まだ十分な電力容量があるのだという。

同国政府は2030年までにバイクを全面電動化する方針を打ち出しており、バッテリーのライフサイクル管理は必至の課題である。
再生可能エネルギーへの移行においても重要な要素の1つであり、今回のGogoro社の開発はその有効な手段となるだろう。


Source :Taiwan’s ‘game changer’ e-bike battery charging stations could supercharge shift from fossil fuels

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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