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ゼロからのスタート。40年も前から太陽光発電だけで稼働する村

ENERGY | 2022.02.16

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ゼロからのスタート。40年も前から太陽光発電だけで稼働する村

太陽光発電だけで稼働する村

以前の記事「南オーストラリア州、1週間自然エネルギーだけで電力需要を賄う」では、地域特性に合わせた方法で自然エネルギーを活用している取組みを紹介したが、オーストラリアには他にも驚くべき事例がある。

同国ノーザンテリトリー州のとある村に住む人々は、なんと40年以上も前から太陽光発電だけで電力を賄い続けているというのだ。
本当にそんなことが可能なのだろうか。

サイクロントレーシーをきっかけに作られたソーラー・ビレッジ

ノーザンテリトリー州のDarwin郊外にあるHumpty Dooという村は1970年代から今日まで、40年以上も太陽光発電だけで全ての電力を賄っているのだという。

そのきっかけとなったのは、1974年にDarwinを襲ったサイクロントレーシー。
オーストラリアで最も猛威を奮ったといわれるこのサイクロンにより、多くの人々が亡くなり建物のほとんどが破損、倒壊した。そして、全てのインフラを破壊されたDarwinを復興させる計画の一つとして挙がったのが、太陽光のみで稼働する”ソーラー・ビレッジ”の建設であったという。

当初は政府の援助も検討されていたが、最終的には住民各自が株を買って自らの区画を所有する”個人分譲”の仕組みを用い、この村を建設したのだそうだ。現在は13の区画があるという。

サイクロンによって全て破壊され、いわばゼロから作り上げられた“ソーラー・ビレッジ”。
当初は発電システムが安定せず様々な苦労もあったようだが、住宅そのものの工夫も組み合わせて、今では快適に生活できるようになったという。

「オフグリッド(電力会社の送電網に接続されていない)なので不安定さはありますが、土壁の厚さが30センチもあるので温度を一定に保つことができ、1年を通じてとても快適なのです」と、住人は言う。

地域社会で、気候変動に向き合う

近年気候変動による影響が顕著になり、世界中で二酸化炭素排出量削減に向けた取組みの一つとして自然エネルギーへの移行が加速しているが、この村は、40年以上も前から気候変動に向き合ってきたのだ。

住民たちが自ら協力し、ゼロからこの100%太陽光発電で稼働する“ソーラー・ビレッジ”を作り上げたこと。そしてその村が長年維持されていることから、持続可能な取組みには地域社会の力が非常に重要であるといえるだろう。

40年経った今、このプロジェクトの成功を実感している村の住人たちは言う。
「より良い地域社会の創造を目指して人々が集まり、何かを成し遂げようとする時、何ができるかを示す素晴らしい事例だと思います」

 


Source :40 years and counting: Australian solar village proves sun power is here to stay

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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