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2年ぶりに開催されたLA Auto Showで見られた3つの共通点

EV | 2022.01.06

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2年ぶりに開催されたLA Auto Showで見られた3つの共通点

EVへのシフトが世界的に進む中、2021年11月に米カリフォルニア州ロサンゼルスでLA Auto Showが開催された。

LA Auto Showは、1907年創設以来毎年開催されている国際自動車展示会で、世界で最も影響力のあるショーの1つと広く認識されている。前年は新型コロナウイルスの影響で中止されたため、2年ぶりの開催となり、世界各地から30以上のメーカーが参加した。

 

今回注目すべき点はなんと言ってもEVだろう。

初のEV賞である「THE ZEVAS」(Zero Emission Veacle Awards /ゼロ・エミッション・ビークル・アワード)の表彰も行われ、90台の対象車両から、様々なカテゴリーで9台の受賞車両が選ばれた。

各々が他にはない優れた機能を備えていることは言うまでもないが、受賞車両9台の共通点と今後の展望について紹介しよう。

長い航続距離

EVの特徴といえば充電式バッテリーが搭載されていることだが、充電スタンド不足が課題であり、これが理由で購入を躊躇っている人も少なくないだろう。

受賞した9台の車の方向性としてみられたのは、航続距離が長いという点だ。
9台の平均航続距離は、約442km。これは、東京から富山県まで行ける程の距離である。

Lucid Groupの「Lucid Air」においては、9台の中で最も航続距離が長く、約837kmにも及ぶ。これは東京から愛媛県、または東京から函館まで行くことができる程の距離だ。

このように各メーカーでは、EVの充電スタンド不足という弱点を、航続距離をより長くすることで解決しようとしている。

 

クリーンエネルギー

ガソリンや軽油に比べればクリーンなエネルギーを使用しているのは当然だが、屋根に設置したソーラーパネルから生成したエネルギーを使用して走るEVも登場した。

中でも、Fisker社の「Fisker Ocean」は注目に値する。

 

Fisker Oceanに搭載されているソーラーパネルは、自社開発の「SolarSkyRoof」。屋根全体に設置されたSolarSkyRoofが太陽光を利用してエネルギーを生成し、バッテリー駆動モーターをサポートしている。

クリーンでゼロエミッションであり、理想的な条件下であれば年間走行距離が約2,400km~3,200km分可能だという。

今まで不可能だと思われていた太陽光発電によるEVの走行が可能となったことで、今後は「風力発電型EV」なるものも開発されるかもしれない。各メーカーは、よりクリーンなEVの開発に力を注ぐだろう。

手頃な価格設定

EVの価格は普及拡大の妨げの1つとなっているが、技術開発が進むに伴い、より手頃な価格で販売されるようになってきている。

例えば、Alpha Motor Corporationの「ACE Coupe」の希望小売価格は、約371万円~約453万円だ。

 

また、先程も紹介したFisker Oceanは、約435万円で販売が予定されているという。
今後はさらに技術が確立され、価格競争でEVがより手に入りやすい環境になるだろう。

LA Auto Showで見られたEVの今後の動向 

LA Auto Showは高級車の祭典として知られ、かつては大手メーカーが数多く出展していたが、コロナ禍で状況は様変わりした。大手はオンラインイベントを重視するメーカーも多く、今回のショーでは新興のEVメーカーが存在感を高めていたのが印象的である。

アメリカでは、中国やヨーロッパなどに比べてEVの普及は進んでいないが、バイデン大統領は、2030年までに走行中に排ガスを出さない新車の割合を50%まで高める目標を打ち出していて、メーカー各社がEVシフトの戦略を急いでいる。

一方で、単に「EVである」というだけではなく、「EVプラスα」が必要なフェーズになりつつある。

例えばHyundaiが公開したEV「SEVEN」は、様々なエコフレンドリーな原料を使い、衛生換気システム(Hygiene Airflow System)やUVC殺菌を備えることによって、サステナブルで清潔なモビリティ環境を確保している。細菌やウィルスから身を守るためのテクノロジーは、今まさに求められているものと言えるだろう。

今、我々が生きている時代の流れは過去に類を見ないくらい速い。
今後は大手と新興メーカー双方でより価格競争が進むと共に、消費者のニーズに合致したプラスαの付加価値をつけることで、EVの普及が進むのではないだろうか。


Source :The highs and lows of the 2021 Los Angeles Auto Show
:The Fisker Ocean Electric SUV Finally Revealed in Production Form at the LA Auto Show
:2021 LA Auto Show Announces ZEVA Award Winners: Best Of Best EVs

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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