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履き終えたら埋める。リンゴの木になるスニーカー

FASHION | 2021.12.15

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履き終えたら埋める。リンゴの木になるスニーカー

近年、プラスチックの使用を避けて生分解性素材を使用した、サステナブルな製品が次々に生み出されている。
既に「マスクや「Tシャツ」については紹介してきたが、いくら素材にこだわった製品でも、使用後土に埋めてもらえなければ、土壌の微生物による分解は進まない。

そんな中開発されたのが、「履き終えた時、土に埋めたくなるスニーカー」である。
このスニーカーは、ただ土に還るだけではない。

なんと埋められた後、リンゴの木になるのだという。

 

このスニーカーを開発したのはカナダ、トロントに住むLuc Houle氏。開発するに至った理由は、7年間働いたファッション業界が、いかに多くの二酸化炭素を排出し、環境汚染を進めてしまっているかを知ったからだという。

このスニーカーは「Johnny」と名付けられているのだが、これにも意味があるそうだ。

「Johnny Appleseed(ジョニー・アップルシード)の伝説」として有名な、アメリカ初期に実在した開拓者の名前である。彼は、19世紀の初め頃10年間に渡り多くの州にリンゴの種をもたらした。アメリカ西部開拓期の伝説的人物として今も語り継がれている彼に敬意を表して、この名を付けたのだという。

Johnnyは一見、キャンパス地のシンプルなスニーカーだが、原材料にプラスチックは使用されておらず、100%生分解性素材で作られている。ソール部分には天然ゴム、靴底には消臭効果とクッション性を備えた天然コルク、さらには撥水加工のために自然由来の蜜蝋を使用する等、機能性とサステナブルを兼ね備えているのだ。そして何より1番の特徴は、ソール部分にリンゴの種が隠されていることだろう。

使用後土に埋めると、スニーカーは土壌の中で3年をかけて自然に分解され、最後に肥料でコーティングされたりんごの種が残る仕組みだ。
自然の条件が整えば種が発芽するが、発芽しないケースもあることを想定し、Jonnyではスニーカーが売れるごとに植林活動も行っているのだという。

さらにJonnyでは、フェアトレード素材を採用し、生産過程でもCO2の排出をできるだけ抑える工夫をする等、様々な取り組みを行っている。

「今、プラスチックが大きな問題になっています。埋め立て地を侵食し、海に氾濫しています。私は自分の役割を果たしできる限りの努力をしていますが、業界も変わらなければならないのです」と、Houle氏は述べている。

Johnnyはクラウドファンディングサイト「Kickstarter」で73,000カナダドル(約646万円)の支援を集め、現在は109ドルでプレオーダーを受付中。2022年8月に届く予定となっている。

現代の生活においては、消耗して買い換えなければいけない製品がどうしても出てきてしまうが、Johnnyのように、使用後様々な野菜や果物が育つような製品が普及することで、廃棄物を減らせるだけでなく、食糧不足問題の解決の1つとなることにも期待したい。


Source :Canadian Company Is Making Shoes That Grow Into Apple Trees

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TEXT:
倉若太一 ( Instagram )

PLUGO JOURNALニュースライター。企業・利益中心の開発はいかがなものかと疑問を持ち始めました。いつまでもあると思うな親・金・資源。

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